雪国・新潟で家を建てるなら、普通はカーポートを付けるのが当たり前。
ところが私は、新築時にあえてそれを外しました。
理由のひとつは、YouTuberたちの「冬のためだけにカーポートを作るのはお金の無駄」「カーポートなんてダサい!」という言葉。
さらに「せっかくの新築だし、家の見た目が悪くなるのは嫌だ」という気持ちも重なり、最終的に付けない決断をしてしまったのです。
結果は──3年間の雪かき生活。
新築前も同じく雪かき生活だったとはいえこのチャンスに解消できたはずの不便を抱え続けることになり、
結局は後から設置することになりました。
「最初からカーポート建てておけば良かった」──今ではそう思うほど満足度が高い設備。
なぜ考えが変わったのか、その経緯と実際に感じたことをまとめます。
新築時にカーポートを付けなかった理由

一番大きな理由は、リード文でも触れたようにYouTuberの影響です。
ただ、彼らの意見を思考停止で受け入れた訳ではありません。
自分自身も「確かにカーポートは家のデザインを壊すかもしれない」という結論に至り、新築時は見送る判断をしました。
次に気になったのが駐車場の使い勝手です。
柱が立つことで車の出し入れがしづらくなったり、ドアを開けたときに当たる事があると思うとストレスになるのではと感じました。
さらに、超ギリギリで止めれば3台停められるスペースが、カーポートを付けると確実に失われるという点も大きな懸念でした。
せっかく広めに確保した駐車場を狭めてしまうのは、本末転倒だと思えたのです。
また、当時は「2台分のカーポート=100万円以上する」という思い込みもありました。
もし本当にその費用をかけるなら、住宅ローンが100万円増えることになる──そう考えると、冬の数ヶ月しか使わない設備にそこまで投資するのは割に合わないように思えたのです。
加えて、構造物が増えるってことは余計な修繕の手間も増えるだろうと考えていました。
まとめると、新築時にカーポートを付けなかった理由は次の通りです。
- 外観が崩れるのではないか
- 駐車場が狭くなるのではないか
- 3台停められる可能性がなくなる
- 冬だけではコスパが悪い
- 住宅ローンが100万円増える
- 修繕のリスクが増える
後付けを決断させた3つのきっかけ

3年ほど住んでみると、当初は「外観が崩れる」「駐車が窮屈になる」と思っていた不安も、実際の生活の中ではそこまで気にならないんじゃないか──と徐々に感じるようになってきました。
では、最終的に設置を決断する後押しになったのは何だったのか。
おだゆ振り返ってみると、大きく3つの理由がありました。
冬場の除雪は想像以上に大変で、2台分プラスαともなると尚のこと。妻から「やっぱりカーポート欲しいかも」という声が年々強まり、負担を減らすためには必要だと徐々に感じるようになりました。
車をきれいに維持したいと思うようになり、洗車が趣味になりました。直射日光下では水ジミができやすいし、黄砂や鳥フンからも守りたい。カーポートは“冬のため”だけではなく、“車を守るための設備”という意味を持つようになったのです。
実際に相談してみると、2台用・柱4本・最大幅でも100万円よりずっと下回りました。思っていたよりずっと安く、暮らしの快適さを考えれば十分に投資する価値があると判断しました。しかも、たまたま知り合いがカーポート屋さんだったこともあり、とんとん拍子に話が進んでいきました。
こうして「付けない理由」よりも「付ける理由」がはるかに大きくなり、最後は迷うことなく踏み切ることができました。
我が家のカーポートはこう作った
知り合いの方にお願いしたので、その方が扱っていた三協アルミの商品を選び、無理に他メーカーにすることなく G1-R に決まりました。
私は事前に図面を描き、カーポート屋さんに意向を説明。プロの意見も参考にしながら細部を決定していきました。
特にこだわったのは「土間にできるだけデッドスペースを作らない」こと。
- 土間いっぱいに設置すること(建蔽率以内で)
- 家から50cm程度は離すこと(隣家境界からも)
- 手前の柱の位置を前に出しすぎないこと(道路から1m離す)
この3点を希望として伝えました。一応法的なことも回避できるよう考えて計画しました。
さらに「屋根の出っ張りは1mまでしか面積に入れない」というルールもあって、
そのへんを組み合わせて計算したら、一応収まり結果として「まあ、なんとかセーフだったな」という感じ。
狙ってやったというよりは、計算してみたら案外きれいにハマった…そんなところです。
もちろん、カーポートは屋根と柱がある時点で「建築物」扱いになるので、原則は確認申請の対象です。
今回はそのあたりを考慮しながら計画を進めたので、読者の方も実際に検討する際は必ず自治体や建築士に相談してみてください。
もうひとつの課題は、我が家が傾斜地に建っていること。柱の長さをどうするかが難しいポイントでした。
高すぎるとカッコ悪いし、低すぎると背の高い車が入らない。そこでプロの提案で「一番短い柱を2500mmにし、他の柱はそれに合わせて長さを調整」という形に。結果、一番長い柱は2800mm程度となり、「高すぎて間抜けに見えないだろうか…」と少し不安でした。




工事自体は1日で終了し、後日コンクリートの補修をして完成。
このとき「周りと同じ刷毛引きで仕上げてください」とお願いしていたのに、なぜか金鏝仕上げにされてしまい、少々残念な気持ちに…。
とはいえ、完成した喜びの方が大きく、その不満はそっと胸にしまっておきました。


雨樋の排水について
私はDIYで雨水排水に繋げましたが、砂利の上に垂れ流すのも悪くない方法です。
いずれにしても「どう排水するか」は仕上がりやメンテナンス性に大きく影響する部分なので、必ず業者さんに確認してこだわった方がいいポイントです。


雨樋の排水は、何も指定しないと土間に垂れ流しにされるケースがほとんどです。
ただし垂れ流しにすると、写真のように雨水が当たる部分の土間が半年経たずに黒ずんで汚れてしまいます。
この辺も考慮して柱の位置や排水計画を最初から考えておかないと後悔することになります。
カーポートを付けて気づいた意外なメリット




実際にカーポートを設置してみると、不思議と外観全体のバランスが取れたように感じられました。
思い返せばその理由は、駐車スペースとアプローチがひとつながりに広がって見えていたことで、外構全体がどこか間延びし、建物のボリュームに対してアンバランスに見えていたからではないでしょうか。


カーポートの屋根が加わったことで空間が緩やかにゾーニングされ、ただ広いだけに見えていたスペースが引き締まりました。敷地全体にも少し高級感が漂い、外観の印象が大きく変わったのです。



意外と「最初から計画していたかのように」馴染んでるわね
また、ファサードの窓なし部分も邪魔になるどころか、むしろアクセントのように馴染んでくれました。心配していた高さの違和感もなく、大きめの車でも余裕がある安心感があります。駐車の邪魔になると思っていた柱も、実際には“目印”として役立っているほどです。
もちろん、まだ冬は体験していません。
それでも、新潟のような雪国で新築するなら「カーポートを建てないのはありえない」。
これはもはや生活必需品だと、自信を持って言える予感がしています。
また、冬以外でもメリットが多いと実感しています。
- 雨の日でも快適:濡れずに乗り降りできる
- 夏の暑さ対策:直射日光を避けて車内温度の上昇を抑えられる
- 洗車に最適:日陰で作業できるので水ジミができにくい
- 汚れ防止:鳥フンや黄砂から車を守れる
「冬のためだけ」と思っていた設備が、実際には一年中快適さをもたらしてくれるものでした。
デメリット…というより、設置前に知っておきたいこと


実際にカーポートのある暮らしてみると、大きなデメリットはほとんど感じません。
ただ、これから設置を考える方に向けて「注意しておくと安心なポイント」を挙げてみます。
近隣との距離感と排水
民法では原則「境界から50cm以上離す」とされていますので我が家ではそのようにしました。
ただし地域によっては暗黙の了解でギリギリに立てているケースも多いため、近隣との関係性、周囲の状況や慣習をよく確認してから決めると安心です。
また、カーポートには雨樋がありますが、水勾配を誤って隣家側に流すように設計してしまうとトラブルの元になります。排水方向は必ず確認しておきましょう。
排水と土間の汚れ
雨樋の排水を垂れ流しにするとあっという間に土間が汚くなりますので注意が必要です。
外観との相性
最近のカーポートはデザインもすっきりしていますが、家のデザインとの相性によっては浮いてしまうことも。色や配置を工夫すれば馴染みますし最初からカーポートありきで外観を考えた方が良い。
駐車スペースの制約
少しとはいえ柱の分だけスペースは狭くなりますので駐車台数の柔軟性は失われる事があります。
初期費用とメンテナンス
設置費用は2台用で50万円程度。20年後には屋根材やアルミ材のが劣化してきます。なるべく傷まないように水をかけたり年に一度は拭き掃除もしようと思っています。明かりが欲しいからといって安易に透明ポリカ折半を入れない。劣化スピードがガルバよりずっと速いです。
雪下ろしの可能性
4本柱タイプでも十分対応できますが、心配性な人や豪雪地域では「雪下ろしが必要かも」と考えておくと安心。より安心したいなら6本柱タイプを選ぶのも手です。
日当たりへの影響
敷地によっては日陰が増え、庭や植栽に影響が出ることもあります。我が家は方角的に問題がなかったです。
家のメンテナンス
あまりにカーポートを家の近くに設置すると家の外壁工事の際にその部分だけ工事不可になったり、変な納まりになってしまう場合があります。
まとめ|本当にダサかったのは自分だった


「カーポートはダサい」「冬だけなら無駄」──そんな言葉に流され、新築時は設置を見送りました。結果、3年間も雪かきに追われ、不便を抱えることに。けれど実際に後付けしてみると、外観は損なわれず、暮らしは確実に快適に。はっきり言います。ダサかったのは“カーポート”ではなく、他人の意見に流され判断を誤った私でした。
しかし同時に学びも得る事ができました。それは”他人の言葉ではなく、自分や家族の暮らしに照らして考えること”──実際に冬を過ごし、雪かきをし、日々車を使うのは私たち家族です。**他人は好き勝手に言うだけで、その不便さや後悔の責任を取ってはくれません。**暮らしの基準を外に求めてしまえば、結局ツケを払うのは自分たち。だからこそ「本当に必要かどうか」を自分の生活から判断することが大切だと痛感しました。



家では出来た事がカーポートはできていませんでした
結論。少なくとも私の家では、カーポートは迷いのない“必需品”。雪国で新築するなら、それが最適解です。3年遅れでようやく学んだ、この率直な答えを、同じように迷う人へ残しておきます。
なお、後付けゆえに柱まわりのコンクリートだけ色が違う。見るたびに「最初から付けておけば…」と思う小さな跡ですが、それもまた勉強代。今は「カーポート分の住宅ローンを繰上げ返済した」と思うことで納得し、前向きに捉えています。
そして何より──やっぱり付けてよかった。それが今の実感です。








