高気密高断熱なら出来る!新しい階段スタイル”リビングホール階段”

階段は設計時にすごく大事になる要素の一つです。階段の位置や形状で間取がある程度決まってしまいますので設計の腕の見せ所でもあります。私も自分で幾つも間取を作りましたが階段を最後に考えると、あまり良い間取にならなかったり、詰んでしまうことが多かったので間取作りに慣れて来てからは最初に階段のデザインと位置をある程度決めてから間取を考えるようにしました。

我が家の階段はホール階段でありながらリビング階段でもあるチョット変わったタイプの階段になっております。

それでは細かくみていきましょう

目次

直階段に込めた思い

青い部分が階段になります。何とも贅沢に2間(4マス)の長さがある階段です。それも直階段なのでかなりの余裕があります。階段はスペース削減の対象になりがちなので階段ありきで設計しないと、なかなかこうはなりません。

階段の形状は設計前から宮崎建築さんの施工事例にあった直階段を妻が見て気に入り直階段を猛プッシュ。理由は

おだみ

かわいいから!

という事です。はぁ?と私も一瞬思いましたが考えてみると、この家の最も大事にしているコンセプトが”実質平屋ワンルームの家”なんでコンセプト的に直階段がバチッとはまったんです。

おだみ

私もたまには良いこと言うでしょ?

では直階段を更に深堀りしていきましょう。

1階と2階を近く感じる様に

”実質平屋ワンルームの家” を実現する為には直階段は必須です。

写真のように下にいて上が見えたり上にいて下が見えるのって直階段が最も得意です。これから向かう場所が予め見えていると視覚的に各階の繋がりを近く感じることが出来ると思います。

階段を上る時に外が見える窓が有るのも視線の抜けを意識しています。

直階段は危ないのか?

直階段とは下から上まで一直線に登っていく階段です。転んだ時に一番下まで落ちるから最も危険な階段!と言っている方を見かける時がありますが私はそうは思いませんし、実際プロの方の情報を見るとそんな事を言っている方はほぼ居ません。”転んだ時に一番下まで落ちるから危険”と言う強力なワードが切り抜ぬかれて一人歩きしているんじゃないかと考察しています。

おだゆ

私はどの階段も危険度は大差が無いと思っています。

直階段は転べば下まで落ちるかも知れませんが転ぶ確率は一番低いと思いますし、回り階段6段周りだと転びやすいですが大怪我にはなりにくいなど一長一短。強いて言えば階段の中間に踊り場がある折り返し階段が一番安全なのかも知れません。これは直階段の転びにくさと下まで転がるリスクを抑えた階段。

ただ現実問題としてこの様な階段はスペースを使いすぎるので採用できるケースは少ないんじゃないかと思います。6段周り出来る所を1段しか取らずに廊下にする訳ですから。

階段の寸法は決まりがある

これが階段の詳細図面。階段にココまで図面があるものなのでしょうか、細部までキッチリ設計されていて驚きました。まずチェックしたいのは安全性です。危険とか安全は階段形状よりも、この部分が一番重要になると思います。

建築基準法

蹴上 (一段の高さ) 23cm以下
踏面 (踏む所の奥行き)15cm以上

まずはこれをクリアしているのは当たり前ですが我が家の階段は蹴上183.3mmで踏面が240mmなのでだいぶ余裕を持ってクリアしています。蹴上15cmで踏面15cmでも基準はクリアしていますが上がりにくい階段になります。理由は歩幅が合わないからです。

上記の寸法だと1段15cmと上がりやすいのではないかと思ってしまうかも知れませんが、踏面が狭いので歩幅が小さくなり躓く事になります。日本人の平均の歩幅が60cm程度だそうなので蹴上と踏面で1段の歩幅が60cm程度になるように設計しなければならない様です。

蹴上×2+踏面=60cm程度

この式でその階段が安全かどうかの目安になります。我が家の階段だと183.3×2+240=607mmなので大丈夫そうですね。ただこの式は角度の概念が無いので注意も必要かと思います。あとは設計者の経験次第といった所でしょうか。

我が家の階段は角度が37度程度で来客の方には「緩くて上がりやすい階段だね」と言われることが多いです。私達夫婦も最初に上がった時は「廊下歩いてるのと大差ない!」という言葉が思わず出ました。これは今思えば流石に大袈裟だったとは思いますが、当時この様な言葉が出る程に上がりやすかったんだと思います。

スケルトン階段

スケルトン階段、ストリップ階段、シースルー階段など言われ方は統一されておりませんが全部一緒です。この階段は写真の通り蹴込み板がなく反対側が見える作りの階段です。開放的な方向性なので自然と手摺笠木や手摺子も開放的に作られることが多いです。

おだゆ

最近はアイアン手摺で更に線を細く仕上げるのが流行りのようです。

宮崎建築さんの施工事例を見るとアイアン手すりの事例は無いので特に指定がなければ木で造るようです。これは木の扱いに絶対の自信が有るのと家全体の統一感を大事にするからなんだと思います。

スケルトン階段で空調効率アップ

気密断熱にもこだわりの強い私は蹴込の無い階段なら空気の回りも良いだろうという考えがありました。

宮崎建築さんの建てる家の殆どが超が付くほどの高気密高断熱なので、それを生かした間取にして行こうという事は最初から頭にありました。巷では階段と吹抜けは寒いという話をよく聞きますが本物の高気密高断熱住宅は吹き抜けがある事を推奨しています。

おだゆ

実際、真夏も2階のエアコン1台で大丈夫でしたよ

おだみ

マスター会員って凄そう!

新住協一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会)こちらのサイトが非常に勉強になります。宮崎建築さんもこの団体に加盟し、マスター会員になっています。

スケルトン階段で家を広く見せる

ホールで広さを演出しスケルトン階段で視線の抜けを作っています。こうすることで家の端まで見えるようになってワンルームな感じが出ます。

スケルトン階段のデメリット

子供、ペットの転落
アチコチ隙間だらけなので小さい子供は隙間から転落してしまう可能性があります。側面はネットを張り、上下にはベビーガードを取り付けるしかありません。スケルトン階段は蹴込が無いのでいち早く異常に気が付けるのは意外なメリットなのかも。

ホコリが落ちる
我が家は現状階段の下に何も無いのでむしろゴミを落とせば良いので問題有りませんが、下にソファや机が有ると掃除がし難いかも知れないです。テレビも気になりますね。

音漏れ
吹抜けほどでは有りませんが階段も基本的に吹抜けていますので音漏れも多いです。音に敏感な人は気を付けた方が良いかも知れません。

おだゆ

これらのデメリットはクリティカルな事ではないと判断しました。

まとめ

リビング階段とホール階段の良いとこ取りが出来た”リビングホール階段”はとても気に入っています。温熱、デザイン、空間効率、プライバシー、間取効率を上手くバランス出来たんじゃないかと思っています。家の小ささを利用している階段でもありますので小さい家を検討中の方の参考になれば幸いです。

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