この記事ではルームツアーLDK記事で紹介しきれなかったリビングダイニング空間を構成する家具や空間の設え方などを5つに分けてご紹介したいと思います。
具体的には
その1 窓の形と位置が空間を豊かにする
その2 多機能な長さ3.2mスタンディングカウンター
その3 小上がりをデイベットのように使う
その4 吹抜けで空間にリズムを付ける
その5 円形ダイニングテーブルをマルチに使いこなす
の順番になっています。
小さい家やシンプルでミニマルなお住まいをお考えでしたら参考になる事もあるかと思うのでご一読ください。
その1 窓の形と位置が空間を豊かにする
リビングダイニングには4つの窓があります。その一つ一つにはちゃんとした狙いがあります。窓は採光や通風だけでなく、位置や大きさで部屋の雰囲気にも影響しますし、その窓で何を見せたいのかなど実は色々な考えるポイントがあります。
2つの窓を組み合わせて雰囲気を作る
掃き出し窓と小上がりの窓2つをリンクさせてテイストを可愛い感じに寄せています。なんとなく四角い窓が2つ並んでいる感じが可愛いらしいです。
高さ2.2mにすると色んな所でワイド感を意識したのに、それが少し損なわれる感じがするわね。
でも最初は何でもっと高さのある掃き出し窓にしないんだろうと不思議でした。
You Tubeなどでは掃き出し窓は天井まで有ったほうが良いという人が殆どで高さ1.8mの掃き出し窓が良いなんて人は居ませんが、建築士さんは空間の設え、周りとのバランス、日射遮蔽など様々事を考慮して1.8mを提案されました。そうとは知らず私は
などの方が良いんじゃないですか?と提案。その時はとにかく引き違い窓が嫌でした。理由は
C値、UA値が下がるのが嫌で極力引違いは付けたくありませんでした。
私は何事も極端な思考で数値などを追い求めたくなる性分で周りが見えなくなる事があります。木を見て森を見ずです。
LDKで1番大きい窓なので出来るだけシンプルな方がこの空間に溶け込みやすいかなと。また、外が庭の場合、窓ガラス越しに見る外部がキレイに見えるには窓はあまり主張しないほうが良いと個人的に思ってます。LDKでアシンメトリーが強い場所が、小上がりの収納まわりにある為、掃き出し窓もアシンメトリー(くずしたカタチ)にすると空間的なバランスが難しいかな、と感じてました。
基本的には換気扇で排気している分しか外気は入って来ません。おだゆさん宅の場合は一種換気で給気量もコントロールできるので室内が負圧になりません。ですので、将来的に引き違い窓の気密性が低下したとしてもそこからの隙間風などは心配するほどではないと考えています。
この話を聞いた上で再度比較したら最初の高さ1.8mの掃き出しが正解だと思い直しました。大変お騒がせした挙げ句に最初の提案に落ち着くとは頭でっかち施主の悪い所が出てしまいました。
窓から何がどのくらい見えるかを考える
窓の位置に関しては私は一切首を突っ込まず提案をそのまま受け入れました。窓から見えるのは主に空と緑なので周りに家が無いような気分になります。
日中はカーテン要らずで過ごせます。夜は近隣に配慮する意味でもロールスクリーンをしています。
せっかく大きな窓を付けてもカーテンを閉めなければならない様では意味がありません。間取、窓の位置、外構の工夫でカーテンの要らない暮らしを目指してみてください。
生活の質が1ランクアップしたような気がします。
仏壇の上にも窓があります。ここは西側に窓が一個も無いのでアクセントとして付けました。この窓は玄関ポーチ内部ありますので夜間にポーチライトが点灯すると誰かが来たのが分かります。
たまに猫が来てポーチライト光ります。
その2 多機能な長さ3.2mスタンディングカウンター
このカウンター収納は1階のメイン収納であり、スタンディングデスクでもあります。軽作業を立って行うスペースとして考えました。
小さい家に3200mmのカウンターは存在感があり家のシンボルの一つとして印象付けることが出来ます。
自分で展開図を作成して置く物や収納する物をきっちり計画しました。ほぼそのまま再現出来ています。
最近の家にはこの様なリビングの一角にデスクコーナーを設けることが多いですが、小さな家でこうすると椅子自体と引き代が必要になりスペースを圧迫しますので我が家ではスタンディングデスクとして考えました。
座り作業はダイニングテーブル、立ち作業はスタンディングデスクと言うように居場所の多様性を考えました。
椅子が無いことによるメリットは結構あります
椅子が無いと省スペースで、収納が作れて、スタンディングになる事で高さが高くなり収納力がアップします。
昔で言う電話台の現代版というイメージに近いかも知れません。ちなみに固定電話は新築を期に解約しました。
床下エアコン、ディスプレイスペース、メモスペース
木製ルーバーの奥にエアコンが設置されています。ここから床下に暖気が放出され床を暖めつつ各スペースの床ガラリから暖気が出る仕組みです。ルーバーはマグネット式で簡単に外して掃除することが出来ます。
ディスプレイスペースは私の趣味で季節毎の飾りを楽しんでます。
我が家の時計はアマゾンのEcho Show 5です。壁掛け時計が無くても意外と不便は有りません。
最初からEcho Show 5を置く計画でしたのでコンセントも設置してもらいました。SwitchBot ハブミニも置いて床下エアコンを自動制御しています(常時運転を始めるまでの期間だけ)
床下エアコンの吹出口が顔を出しています。土間全て断熱材が張られているので熱損失は少ないと思います。
カウンターの裏にスイッチボットのLEDテープライトを取付けました。日の入りにオン、0時にオフでスケジュールを組んでいます。寝るまでのちょっとした明かりにもなるし、ディスプレイも奥まで明るくなるのでレイアウトの幅が広がります。
一番上はササッとメモをとれるスペース。ペン立ては建築時に出た切れっ端を四角く切って穴を開けただけの物。宮崎建築さんの建てた家だけあって宮崎建築謹製卓上カレンダーが完璧に馴染みます。スイッチボット温度計もインテリアに馴染みます。
常に温度をチェックをして感覚を養っています。
オープン収納、PCスペース
オープン棚にはティッシュ類、書籍など。一番上もオープンだったのですが引き出しにしたほうが使い勝手が良さそうでしたのでDIYで引き出しを追加して家のメンテナンス用品などを入れています。
カウンターの上にコンセントやケーブルが有ると見た目が悪いのでカウンターの下にコンセントを設置してもらいました。スリットを長めに空けてもらいある程度自由が効くようにしてもらいました。
カウンターの上にはMacBook Airを置いて簡単な検索や作業をしています。右は充電スペースで左はHomePod miniを置いています。このHomePod miniは想定以上に我が家になくてはならない物となりました。あまりに良かったので後で別記事にまとめたいと思います。
リビング収納、郵便置き場、リモコン置き場
この収納が1階のメイン収納です。書類、薬、文具などリビング収納として使っています。
ちょっと失敗した事がありますのでシェアしたいと思います。計画では引き出しを端から端までピッタリに入れるつもりでしたが入ってもスライド丁番の動きの関係で扉の小口とスライド丁番に当たって引き出しが引き出せませんでした。
これは出来るまで気付きませんでした。
端っこは引き出しを置かずに直接物を置くようリカバリーしました。
その3 小上がりをデイベットのように使う
我が家の小上がりは縁に腰を掛ける事=居場所を作る事を重視し設置してもらいました。
洗濯物を畳む場所
昼寝
色んな物の一時置き場
ちょっとした時に段差に座る
段差座りからのゴロゴロ
ゴロゴロから脚を床に投げ出しだらしなく座る
椅子を小上がり前に持って来て小上がりをオットマンに
大体想像通りに使っています。
テレビ、仏壇
テレビは計画通り壁掛けにしました。壁掛け金具はアマゾンの安いやつを買って自分で設置しました。金具の位置、テレビの位置をしっかり伝えてコンセントの位置や下地入れをお願いしました。先回りして職人さんがやり直し仕事が無いように気を付けるのも施主の仕事です。私が自分で図面を書いたりするのはそういう意味合いが一番強いです。
職人さんは真剣に仕事に向き合っていますので施主都合でのやり直しで嫌な思いをしてほしくありません。
テレビは前の家で使っていた50インチの2K液晶テレビをそのまま使っています。レコーダー類は無くテレビ以外何もありません。HDMI端子にFire TV Stickだけ付けています。
仏壇の位置は和室の一角のような雰囲気になりました。私の自作間取より良い位置に来ました。そばに大きめな四角い窓があり、そこからは庭の緑を見ることが出来ます。特にナツハゼは室内からの見栄えを考えた位置に植えました。
小上がりの高さ
我が家の小上がりの高さは20cmにしました。インターネットで検索すると30cm〜40cmが正解としている記事が多いですが果たしてそうでしょうか。
これは30cmか40cmに軍配が上がるでしょう。ですが座りやすいからと言って段差に1時間とか座るでしょうか?私は段差には5分〜10分程度しか座らないと想像したので20cmでも問題無いという結論に達しました。
30cm以上であれば収納を作る事が出来ます。我が家ではカウンター収納が有れば十分なので小上がりに収納を付けたいとは全く思いませんでした。むしろ無い方が良いとすら思っていました。収納が有ると引き出しが付いて見た目が悪くなりますし、誰かが開けっ放しにして足を引っ掛けたり、引き出しに足を突っ込んだりするかもしれないという不安が付きまとうからです。下が収納だといつか重みなどで引き出しが開かなくなるんじゃないかという不安もあります。
正解は0cm〜20cmでしょう。圧迫感の無さとも比例します。我が家はこれを一番重視しました。なるべく圧迫感を出さずワンルーム感を邪魔しないように。仏壇もこのスペースに有るので往来がしやすくないといけません。
小上がりの高さに正解なんて無いと思います。その家の方が小上がりスペースをどの様に使うかを深く考えればその家にとって最適な小上がりの高さが導き出されるはずです。
我が家は20cmが大正解でした。
ダイケン健やかおもて
和紙で出来た縁なし畳です。最初は普通の畳の色で良いんじゃないかなと思ったんですが建築士さんのアドバイスも有りモダン寄りの銀鼠色にしました。
銀鼠色はモダンで良い色なんでオススメです。
縁なし畳と言うと市松模様に並べるイメージですが同方向に並べる方がスッキリして良いかもしれません。
我が家は3枚しか無いので問答無用で同方向ですが9枚とかでも同方向にしたかも。
和紙畳は、い草の畳と比べると硬いのでゴロ寝重視の方は実際に体験してから採用したほうが良いかも知れません。その代わりカラーバリエーションも多く色褪せも少なく丈夫です。
その4 吹抜けで空間にリズムを付ける
家の空間はただ天井が高いだけでも低いだけでも何か物足りないはずです。低い所があって高いところが有る事でリズムが生まれて楽しい空間になります。吹抜はそういった意味では非常に有効な手段となります。
我が家の吹抜けは2.5帖程。吹抜けは寒いと世間では言われる事が多いですが高気密高断熱住宅ではその限りでは有く、むしろ空気を回す為にはあったほうが良いくらいです。シーリングファンは付けません。
高気密高断熱住宅+床下エアコンだと1階の方が暖かくなりますのでシーリングファンは不要です。
吹抜けの音漏れ問題は甘く見ないこと
これは予想していましたので特別問題視はしていませんが、音漏れと言うよりも筒抜けです。そりゃそうです、1階と2階の間に大穴が空いているんですから。おまけにスケルトン階段もある。我が家の場合これもメリットとして考え、1階と2階で簡単な会話が出来たり、1階で音楽を流して2階で聴いたり今まで出来なかったことが出来るようになって良かったと思っています。
開放感と音漏れは相反するものと考えて間違いないと思います。
その5 円形ダイニングテーブルをマルチに使いこなす
小さな家ではダイニングテーブル、チェア、ソファ、リビングテーブル全てを置くのは無理がある場合が多いです。食事だけではなく様々な用途に使えるようになダイニングテーブルとチェアにする為に予算もそれなりに取りました。
心地よく長く使えるものとして辿り着いたのが宮崎椅子製作所のテーブルとチェアでした。
宮崎椅子製作所
徳島県鳴門市にある木の椅子づくり専門の家具メーカーです。デザイナーと職人が一緒に作り上げる美しく機能的な椅子は私の家具の価値観を変えました。一生物の家具って良いのかも知れないと思うようになりました。
新潟市で宮崎椅子を取り扱っているのは
この2店舗になります。
アパートメント新潟では主にPaper KnifeシリーズとUNIシリーズ。ボー・デコールではアパートメント新潟に無いもの全般を扱っています。
円形ダイニングのメリット・デメリット
家を本格的に設計する前の段階で円形ダイニングにする事は決めていました。
四角いテーブルで3人だとバランスが悪いし、ソファもリビングテーブルも無いのでカフェテーブルとして普段使い出来そうな丸いテーブルに白羽の矢が立ちました。
宮崎椅子製作所 hozuki table
選んだテーブルは宮崎椅子製作所 hozuki table 1150mmです。天板サイズは850mm、950mm、1050mm、1150mmの4種類、3本脚と4本脚がある。我が家は3人で座るので3本脚を選択。樹種は一番廉価なブナを選択。とにかくシンプルな佇まいが気に入りました。余計な装飾が無く天板に3本の足が付いているだけというミニマルデザイン。天板は27mmの厚みをテーパー加工ですっきり見せいています。デザイナーは吉永圭史さんです。
天板の角はアールにせずエッジを効かせている所が特に気に入っています。
ブナは控え目な木目で白っぽい木材です。本当はナラにしたかったのですが高くて手が出しにくくブナにしましたが、シナの造作家具と色がマッチしてブナで良かったです。ナラだと床と同化してしまったかも知れません。仕上げはプラネットカラーのグロスクリアを塗りました。写真の様に少し液体をこぼしたくらいならすぐに拭き取ればシミになりません。
こぼしたまま多少シミになっても石鹸で洗う等メンテナンスすれば綺麗になるので無垢テーブルは永く使えそうです。
宮崎椅子製作所 No.42
デザインはデンマークのカイ・クリスチャンセン。この椅子は60年以上前にデザインされた物を宮崎椅子製作所が復刻して作っています。
脚を30mmカットしています。460mm→430mmになったのでちょっとズングリしちゃってます。
座面が斜めなのでダイニング専用椅子としてはイマイチかも知れませんが食事以外にも使う場合はダントツでこの椅子がおすすめです。座り心地はダイニングチェアとラウンジチェアの間ぐらいの感じ。No.42から外の椅子に座ると座面と背もたれが大分固く感じます。10種類くらいしか試座していませんが、これ以上いい椅子があるのかな?と思わせるほどデザインの美しさと機能性が備わった逸品です。
ハーフアームは肘掛けは有るけど出入りの邪魔にならず椅子としての扱いやすさがアップしています。
木材:ブナ材
張地:Hallingdal65 アイボリー
カスタマイズ 脚 30mmカット(座面高430mm)
No.42はデフォルトの座面高が460mmと高い為、大体の人が脚をカットします。
私のように30mmもカットすると本来のデザインと違ってきてしまいますが仕方ありません。
それでも良い物は良いんです。30mm切っても40mm切ってもNo.42である事には変わりありません。
背もたれが少しですが稼働するのでリラックスしたい時は少し後傾姿勢になれます。
背もたれが姿勢について来る事によって背もたれの角が背中にあたって痛いという事が無くなるのが最大のメリットだと感じました。
ハーフアームは幅が広く写真の様にしっかりと肘を置くことが出来ます。
宮崎椅子製作所 pepe アームチェア
村澤 一晃さんデザインのチェア。全体的に丸みを帯びているデザインで構成された独特な雰囲気を持つPePeアームチェアは宮崎椅子製作所でも1番人気だそうです。
とにかく座面が広々しているのであぐらも出来ない事もないです。出入りの際にアームが邪魔なデメリットがありますが椅子自体が相当軽いのでそこまでデメリットでもないです。
木材:ブナ
張地:Hallingdal65 背張タイプ イエロー
カスタマイズ:脚 15mmカット(座面高420mm)
ジョイント部分はフィンガージョイントでデザイン化されています。脚先は丸いのですがアーム部分まで来ると微妙に四角になっていて肘が置きやすくなっています。
宮崎椅子製作所 kukuチェア
カンチレバー(片持ち梁)が特徴のkukuチェア。コンパクトで体にフィットする安心感があります。デザイナーは小泉誠さんです。
木材 ブナ
張地:Hallingdal65 グリーン
脚 カット無し (座面高420mm)
肘掛けはちょっとだけ短くなっていますので出入りはしやすいです。木の面積が多いのでずっとアームをスリスリしてしまいます。
まとめ
小さな家、シンプルでミニマルな家では物を極力減らし、事前に生活をイメージする事で無駄な収納や設備、スペースを減らし、余ったリソースをゆとりや豊かさに回せばゆったり余裕のあるリビングダイニングが出来るのではないでしょうか。
その1 窓の形と位置が空間を豊かにする
その2 多機能な長さ3.2mスタンディングカウンター
その3 小上がりをデイベットのように使う
その4 吹抜けで空間にリズムを付ける
その5 円形ダイニングテーブルをマルチに使いこなす
これらの要素で出来ている我が家のリビングダイニング。イメージ以上に豊かな生活が出来ています。
ちなみに宮崎椅子の製品は半年以上かかる場合が多いので設計段階で注文しないと家の完成に間に合わなくなりますのでご注意を。