【照明計画】タスク・アンビエント照明で夜も心地よい空間に

住宅での照明の役割はただ明るさを確保するだけでなく、生活の豊かさ、生活動線にも深く関わってきます。照明器具の選択、設置場所やスイッチの位置は生活に密接に関係しており大きく間違えると日々ストレスが溜まる家にもなりかねません。色々な状況、角度から写真を撮ってみましたので照明の雰囲気を確認してみたい方の参考になるはずですのでご覧になってみてください。

おだゆ

記事内の写真は実際の明るさに近づけました

ダウンライトを中心にブラケットやペンダント、シリンダースポットで意匠にもこだわったバランスの取れた照明計画だと思います。何も知らなくてもタスク・アンビエント照明が自然と身につくように照明の位置やスイッチの位置がレイアウトされています。

おだゆ

今思えば1発目の案とは思えないほどの完成度の高さでした。

タスク・アンビエント照明(多灯分散照明)
タスク照明は作業場所を照らす照明、アンビエント照明は部屋全体を照らす照明。この2つを上手く使った照明計画がタスク・アンビエント照明。我が家で言えばペンダントライトはタスク照明、吹き抜けのシリンダースポット、ダイニング上のダウンライト4灯はアンビエント照明。

目次

ダウンライトがメインの照明計画

住宅の完成写真では、このように超広角レンズで部屋全体を写す事が多く、その際に天井にダウンライトが沢山付いていると悪目立ちして写真の芸術度が落ちてしまいます(写真では点灯しているのでそこまで悪く見えません)

最近たまに聞くのが天井を美しくする為にダウンライトは極力付けないようにしましょうという事。これは私から言わせれば正解であり不正解でもあると思います。こういった照明計画を提唱されるのは大体の場合、建築家の方や真剣に良い家を作ろうとしている工務店、設計事務所の方が多いように感じます。ですが家は作品でもありますが住まいです。住まうのも我々施主であり一般市民です。そんな住まう側の立場から見て本当に天井を綺麗にすることが皆に一番大事でしょうか?

消灯時のダウンライトは確かにこう見ると邪魔な印象ですが、実際に人間の目で部屋を見た時は目線の高さである壁の方を良く見るので住んでいると天井はあまり気にならなくなります。我が家の場合、天井よりも壁の綺麗さにこだわったのでダウンライト中心の照明計画で良かったです。

天井が構造材表しだったり勾配天井だとブラケット有利になると思いますし好みもあります。天井にダウンライトは悪だと決めつけずに柔軟な思考で設計者と良い照明計画を作っていくのが一番です。

我が家のダウンライトはオーデリックのOD361/204LDR。このダウンライトは電球が見えずフラットなデザインなので目立ちにくくなっています。木質天井の場合は天井を魅せる場所としていると思うので極力ダウンライトは避けたい所ですね。

掃除要らずで邪魔にならず実用的なのはダウンライト、空間の上質さはブラケットライトという感じでしょうか。ではなぜ私がブラケットライトをメインにしなかったのかと言うと

目線の先が光源、少し眩しく感じる
長物でぶつけて壊す可能性がある
掃除が必要(数が増えると特に)
断熱気密に不利(精神衛生上)

私はこの辺のデメリットが気になったのでダウンライトで良かったと思っていますが、これらデメリットを乗り越えられる人はブラケットの方もオシャレなので是非検討してみて下さい。この記事の最後に我が家を画像処理ソフトを使ってブラケットライトメインのLDKにしてみたので是非ご覧ください。

断熱気密に強い1階ダウンライト

1階と2階の間の層は気密ラインではないので天井付けの照明と相性が良いと思います。もちろん壁に照明を付けたからといって気密がガクンと落ちるわけでは有りませんが、そこはやはり人間の手作業、軽微なミスなどは起こりうるので、より安全な1階ダウンライトは気密に有利という事になります。

ダウンライトは電球交換できるの?

ランプユニット外れています

我が家のダウンライトはオーデリックOD361/204LDR、器具も簡単に外せますしランプユニットだけの交換が出来ます。照明器具の耐用年数は概ね10年〜15年程度ですが実際には壊れなければ20年は使うと思います。その際の交換は器具数が多くなりがちなダウンライトだと交換費用は高くなるのでデメリットとなりますが他のタイプの照明も交換はしなければいけないので使用年数から考えたら目くじら立てる程では無いと思います。

壁面を照らすダウンライトは間接照明っぽくなる

このようにダウンライトを空間の真ん中に配置せず敢えて壁に近づけて配置する事で壁面に光が多く当たり明るさを感じると同時に間接照明のような雰囲気にする事が出来ます。我が家だとこの2ヶ所以外にトイレ、玄関、収納前などは真ん中ではなくどちらかの壁に寄せています。

照明は暗めにして足りなかったらフロアライトを置けば良いのか

フロアライトや置型ライトは素敵ですが電源ケーブルが気になったり、いつか誰かが倒すんじゃないかとか心配になりそうな気がします。スイッチや掃除、飽きて買い替えとかも煩わしく思うかも知れません。

おだゆ

やる気になればフロアライトと壁付スイッチを連動させる事も出来ますが・・・

我が家はフロアライトに頼らず照度を確保できる照明計画にしてもらいました。インテリアが趣味でもない限り暗めの照明計画は後から面倒なことになりかねませんので注意が必要です。でも暗めってどの程度なのかが分かりませんよね。どこからが暗めなのかも人によって違いますしので難しい所です。

ライティングレールであれば器具を気軽に追加できるので保険として良いのですが、我が家の場合シンプルでミニマルなテイストを重視しているので付けない方が良いと建築士さんにアドバイス頂き禁止にしました。

間接照明は雰囲気があって素敵!だけど好きじゃない

かってにコーニス照明
階段のブラケットライト

我が家で言えば階段のブラケットライトが下から見えないように取り付いているので結果的に間接照明になっています。これは光源位置の工夫で出来た間接照明です。

間接照明のメリットデメリット

雰囲気が良くなる
眩しさがない

ホコリや不具合を目視で確認出来ない
掃除が面倒
交換が大変そう
イニシャルコスト増加

間接照明は雰囲気が良く多く採用したい照明ですが建築的に彫り込んだり埋め込んだりする間接照明はあまり好きではありません。光源が普段見えないのは発熱の少ないLEDとはいえチョット怖いです。

おだゆ

狭い所に埋め込んだ照明がどうなっているか気になってしまいそう。

シーリングライトは駄目なのか

2階は全てシーリングライトにしています。シーリングライトはバカにされがちですが改めて考えてみると優秀な照明でもあります。特に断熱気密に有利なので積極的に採用しました。我が家は天井断熱なので気密ラインが天井になるのでそこにダウンライトを付けるのは断熱欠損や僅かな隙間が出来たりしそうです。

おだゆ

間仕切り壁にはブラケットライトも良いかもです。

シーリングライトなら電線一本なので気密処理がしやすそうなのが良いです。我が家についているオーデリックのフラットプレートというシーリングライトでは唯一デザインが良いので採用しましたが一般的なUFO型のシーリングライトだったら不採用にしてブラケットや他の照明にしてもらっていたと思います。

寝室は電球色で暗めで適宜調光、書斎と子供室はナチュラル色、明るめで作業性重視。ウォークスルークローゼットは昼白色で人感センサー。ホールのシーリングライトは電球色で洗濯物を畳む時に使います。書斎にはデスクライトをタスク照明として置こうと思っていましたが十分な明るさなので物が増えるデメリットと天秤にかけた結果置かない事にしました。

スイッチは見た目と使い易さの両立

スイッチはパナソニックのコスモワイド21シリーズです。神保のNK、パナソニックのSO-STYLEなど良さそうなスイッチも検討しましたが工務店標準のコスモワイド21にしました。ほたるスイッチで押す場所も広くて使い易さは一番良さそうでした。デザインもシンプルで悪くないしラウンドフレームでは無くスクエアフレームを採用しているのでスタイリッシュさもあります。

他にも新金属プレート、トグルスイッチなど個性的なものもありますが使いやすく標準的でシンプルなコスモワイド21で良かったです。ただこの記事を書いていてコスモワイド21にネームプレート無しがあるのを発見しました。部屋名が書いてあるとカッコ悪いので書いてはいないのですがデザイン的に気になるので後日でホームセンターでネームなしハンドルプレートを購入して取り替えたいと思います。こういう時も一般的な商品だと手に入りやすいので助かります。

おだゆ

これから家を建てる方はネーム無しも選べると思うので検討してみてください。

ホームセンターでコスモワイド21用のスイッチプレート購入して交換しました。やっぱりネームプレートが無い方はスッキリして良いですね。

人感センサーを採用してQOLを向上させましょう

我が家ではポーチ灯、玄関のダウンライト、トイレのダウンライト、2階ウォークスルークローゼットのシーリングライトにパナソニックのかってにスイッチを付けてもらいました。

玄関

ポーチ灯、玄関内部の照明は人感センサーが特におすすめです。荷物を持っている時など大変ありがたいです。点けっぱなしの防止にもなります。

トイレ

トイレは好みでしょうか。夜中起きてトイレに行く時に勝手に照明が点いて眩しいのが嫌だという人も結構居ます。そういう時は目を細めれば受光量を減らせるのでそれで済みます。とにかくスイッチは面倒くさいので断然人感センサー派です。

ウォークスルークローゼット

ここは絶対じゃないでしょうか。物を取りに行くだけでスイッチを押すのは面倒くさいので暗がりの中ガサゴソするようになると思います。ウォークインクローゼットでも人感センサーおすすめです。じっとして消えたら踊ればまた点きますし。

階段

階段も検討しましたが、我が家の階段照明は間接照明も兼ねているし、仕切りがない家なのでLDKまで光が届く為、上がったり下りたりする度に点いたり消えたりすると気になるかなと思い採用しませんでした。結果は狙い通りで採用しなくて良かったです。

洗面脱衣所

洗面脱衣所も検討しましたが家族が反対したため断念しました。入浴中も脱衣所の電気は点けっぱなしが良いとの事。洗面台の前は人感センサーに出来るか微妙な所ですが、やる気になれば出来たはず。

玄関

玄関ポーチライトはオーデリックのマリンランプ。人感センサーをオプションで付けていますのでアプローチ終盤になると自動で点灯してくれます。暗くなるとほんのり点灯して人が近づくと100%点灯するモードは近所迷惑になりそうなので自粛しました。玄関内部のダウンライトは2つあり、どちらも壁に寄せていますので雰囲気が良く明るく感じます。

階段、ホール

夜中にトイレに行く時はフットライトで大丈夫でした。明るいとは言えませんが直階段なのでうっすら見えるだけで十分トイレに行くことが出来ます。フットライトは周りの明るさに合わせて点灯消灯します。人感でも時間でもタイマーでもありません

トイレ

トイレはハイドアでは無いので垂れ壁が良い具合にダウンライトの光源を見えなくしてくれます。トイレに入ってからも目線を上げなければ光源は見えないので眩しくありません。人感センサーはトイレの中にあるのでトイレの戸を開けると点灯します。

洗面脱衣室

基本的にダウンライト1つ。十分な明るさです。洗面台の上に昼白色のダウンライトも1つあります。

LDK

ペンダントライトの明るさはこんな感じ。夜にペンダントライトだけということは殆どありません。主に朝昼の食事の時に点灯することが多いです。

キッチンのダウンライトとペンダントライトで夕食モード。ダイニングテーブルを照らすことで食事が美味しく見え、周りは明る過ぎず落ち着いた雰囲気になる。

おだゆ

吹き抜けのシリンダースポットはついています

夕食モード時の階段周りの明るさ。空間に仕切りがあまりないので実際に住んで見るまで照明をどこまでつければ良いのかイメージ出来ませんでした。実際にはタスクに関係ない場所は暗くても大丈夫でした。

キッチンダウンライトとダイニングダウンライト。こちらは食事以外で明るさがある程度欲しい時。来客時や天気が悪い時など。

キッチンダウンライト+カウンターを照らすダウンライト。就寝前や雰囲気重視の時。

フル点灯。家全体に光が回ります。電球色なので明る過ぎるという事はありませんが、ここまで明るくする意味もないので全点灯は使いません。

ペンダントライトはルイスポールセンのトルボー220

超ベタですがやっぱりトルボー220が一番好きなペンダントライトです。同社の商品でPH5と言うトルボー220より価格の高い照明も素敵ですが我が家のコンセプト”シンプル&ミニマル”にはトルボー220がベストマッチです。

こちらはトルボー220と似ていますが中村好文さんのペラと言う照明です。完成見学会の時にトルボー220が間に合わなかった為、工務店さんが貸してくれました。おかげで実際に見ることが出来ました。ペラはペソというバランサーとセットの方が素敵かなと思いました。

トルボー220は口金サイズE17でミニクリプトン球100Wが付属しています。非常に色味がよく明るく全方位に光が行き渡るので器具の上までしっかりと光ります。その代わりに結構な発熱があります。冬は良いですが夏には少なからず冷房に影響が出そうなほどです。また電気代も気になりますので私はLED電球に交換しました。

E17口金で60W相当、電球色、光の広がり290度以上で選べば良いかと思います。光の広がりは色んなタイプがあるので間違うと器具の上の方に光が回らなくなるので注意が必要です。

吹き抜け、2階ホール

2階ホールのシリンダースポットライト。外壁側のシリンダースポットは窓のセンターに合わせてある為吹き抜けのセンターではありません。

主寝室

電球色の暗め

オーデリックのフラットプレート1灯。Ra94の高演色。電球色が寝室に最適。

書斎、子供室

書斎と子供室のフラットプレートはナチュラル色にしています。昼白色にも出来ますがナチュラル色の方が自然な光に感じます。

ウォークスルークローゼット

小型のシーリングライトが3灯。ここは服の色味を見るので昼白色にしています。

まとめ

ペンダント、シリンダースポット、階段のブラケット、壁寄せのダウンライトを付けた時の雰囲気が気に入っています。

主にLDKを中心に光の広がり方が分かるように写真多めで記事を作ってみました。多灯分散照明で色んな場所に色々なタイプの照明を配置して、それらを組み合わせて使う事で実用的にしたり暗めにして雰囲気を楽しんだりと満足度高く住んでいます。

私が照明計画時に欲しかったのは実際に住まわれている方の一次情報やたくさんの写真でしたので参考になる方も居るのかなと思います。ですが今思えば一番良いのは工務店や建築士の方にお願いして実際に建てた家で照明の雰囲気を体験させてもらう事ですね。家づくりを本気で取り組んだ”家づくりOB”はこれから家づくりをする方の気持ちがよく分かります。夜の雰囲気も見たい方が居たら見せてくれるOBの方は多いと思いますので相談してみると良いと思います。

おだゆ

これから家を作られる方の照明計画の参考になれば幸いです。

おまけ:リビングダイニングの照明を画像編集でブラケットライトのボール球にしてみました。天井が綺麗になってオシャレ度アップ?
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